人と人をつなげる糸に…「山を守る下仁田納豆」

有限会社下仁田納豆|南都隆道さん / December 19, 2018 / はたらく /

日本人の「ソウルフード」といっても過言ではない納豆。納豆と聞くと水戸のイメージがありますが、下仁田町でつくられる“下仁田納豆”は、日本の伝統的な製法を継承しています。そこに込められた想いをインタビューしてみました。

山を守る納豆屋、下仁田納豆とは?

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―下仁田納豆の自己紹介をお願いします。

下仁田納豆は、山を守る納豆屋さんです。納豆を作ること・売ることがメインの会社ではなく、山を守る納豆屋として、炭火と経木と手作りにこだわって経営しています。

まずは炭火。炭火発酵だけですべてを製造しているのは日本で下仁田納豆だけです。そして、プラスチックケースではなく、経木包装。経木で納豆を包むメリットは、通気性がよく、水分調整もでき、抗菌作用があり、長持ちすることです。経木は、群馬県の榛名山の赤松を使っています。

経木を使用することで、山に人の手が入り、川に滋養が流れ、そして海も豊かになります。納豆を作っているだけではなく、経木が山を守ることにつながるように、人と人をつなげていくような動きをしていきたいと思っています。小さな町、下仁田から全国に発信していることに価値がありますね。

下仁田納豆で、縁を結ぶ糸になりたい

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―南都社長は下仁田のことをどんな風に思っていたのですか?

私は下仁田で生まれましたが、実はこの街があまり好きではありませんでした。人は鈍感で外に出ないとわからないものです。上京して、都会で暮らしてみると、何もないのがよい、という価値観を持つようになりました。物心ついた時から下仁田を毛嫌いしていましたが、申し訳ないと思うようになりました。

31~32歳の時に下仁田町に戻り、父から会社を継ぎ、機械化・工業化の流れではなく、経木を使った手作りに舵を取りました。機械ではなく、人と人が関わって事業を進めていく。私たちの事業は、取引でつながる糸であったり、山とつながる糸であったり、納豆を作ることがみなさんとつながる手段なのです。下仁田納豆は、ただの納豆屋ではなくて、色々な人との関係をデザインして結ぶ、「Desighing Natto」(デザイニングナットウ)を目指しています。

コンセプトが生まれたのは域外との交流から

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―山を守るというコンセプトはどうやって生まれたのでしょうか?

“山を守る”というコンセプトにたどり着けたのは、自分一人の力ではなく、いろんな方との縁の力によってですね。私は、一年のうち、三分の一ぐらいは下仁田町から出て営業活動をしているのですが、段々と気付かされ、余分なところがそぎ落とされてこのようになりました。

思い出されるのは、東北でカキの養殖をされている食の学校の畠山さんとの出会いですね。おいしいカキが生まれるには、“森は海の恋人”というコンセプトを持っていらっしゃいました。他にも大阪で昆布を作っている方も、おいしい昆布を作るためには山が大切とのことで、強い影響を受けました。

下仁田町の強み

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―下仁田で納豆を製造することに強みはありますか?

下仁田は都会から見れば「ねぎ」と「こんにゃく」、食べ物のイメージがありますよね。下仁田町は都心までは1時間ちょっとの距離なのですが、取引相手に「下仁田から来ました」というと、「わざわざ来てくれたんですか」と覚えてもらえるんです。下仁田町は土地が安く、都心から近いので、こんな良いところはないと思っています。

下仁田に住んでいる人が明るく輝く

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―U,Iターンを考えている方へメッセージをお願いします。

U,Iターンを考えてくれる人がいるなら、まずは地域事業者が明るく、笑顔で仕事に取り組んでいることが大切だと思います。

下仁田に住んでいる我々が悲壮感を持っていたらUターンやIターンをするという方が現れません。お先真っ暗、と言っていて自分の息子に継いでほしいと言っても、やらないですよね。今いる人たちが明るく輝いていないといけないと思います。

うちの従業員は域外の方との接点は少ないので、都市部の人とやり取りすることでよい意味でのカルチャーショックが生まれます。都会の人は居るだけで後光がさして見えるみたいです。逆に都会の人には、田舎の良さを知ってもらいたいですね。人をつなげられる糸、そんな場所として、下仁田納豆にかかわってもらえたらと思っています。下仁田町に来たら、ぜひともお立ち寄りくださいね。

(有)下仁田納豆
〒370-2603 群馬県甘楽郡下仁田町馬山5910
TEL.0274-82-6166
FAX.0274-82-2409