人と町のパートナーとして信用金庫ができる地域への参画とは

しののめ信用金庫 下仁田支店|神宮勝巳さん / October 26, 2017 / ささえる /

昭和25年9月に開店し地域に密着した営業を展開する、しののめ信用金庫。地域に寄り添うからこそ見える町の課題、積極的な地域への参画、そして活性化のためにできること。今回は、下仁田支店支店長の神宮勝巳さんに金融機関としての活動や町との関わりについてのお話を伺いました。

ひとりひとりのお客さまに寄り添い、きめ細かいサービスを

―しののめ信用金庫の業務内容について教えてください。

まず、信用金庫は営業エリアが定められていて、そのエリアから出て業務を行うことはできません。例えば当金庫は東京に支店を出すことはできませんし、原則として東京の企業に融資をすることもできません。預金・融資・為替と基本的な業務は地方銀行や大手銀行と変わりがありませんが、定められたエリアにおいてサービスの提供を行うというのが信用金庫の特徴です。

比較的狭いエリアに店舗を構え職員を配置し、営業担当がきめ細かくお客さまのお宅を訪問するスタイルも信用金庫の特徴といえます。富岡市内にはしののめ信用金庫が5店舗あり、店頭での営業は勿論ですが、営業担当が1件1件訪問し、お客さまの金融ニーズに合わせた対応をさせていただいています。

―下仁田町ならでは業務内容はどのようなものがありますか?

下仁田町には地場産業である「こんにゃく」の精粉業者様が多く営業されています。しののめ信用金庫に限らず下仁田町の金融機関は、「こんにゃく」の動きに伴って様々な金融業務が発生しますので、下仁田町ならではと言えると思います。

―地域にずっと関わっていらっしゃる神宮さんや地域の信用金庫ならではの大変さはありますか?

信用金庫ならではとは言えませんが、最近では、これまでにはなかった「特殊詐欺(※2004年までは「オレオレ詐欺」と通称された)から大切なお客様の資産を守る」という使命があります。この1年間、特殊詐欺が疑われる事案がとても多かったですね。比較的高額の払い戻しや解約を希望されるお客さまには、常に特殊詐欺を疑わなければなりません。「何にお使いになるのですか」「請求書はありますか」などと、お客さまからすれば、「何でそんなことを金融機関に言わなければならないの」ということを細かく確認させていただく必要があります。全体からすれば、ごく少数の特殊詐欺事案ですが、全てのお客様に対してお客様が気分を害するような対応もしなければなりません。「大変さ」という意味では、特殊詐欺対応は金融機関にとって本当に大変です。

町の課題に向き合い、金融機関として何ができるかを考える

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―「ねぎとこんにゃく下仁田奨学金※」では、町や他の金融機関と一緒に取り組んでおられますよね。

(※下仁田町が行う奨学金制度で高校卒業後に下仁田町に戻って居住している期間の元金と利息金額を、「ねぎとこんにゃく下仁田奨学金基金」から補助する制度。詳細はこちら)

私たち地域金融機関は、地域から預金をお預入れいただき、その預金を地域でお金を必要としている企業や個人の方々にご融資するという仕事です。例えば、大きな市場のある東京で営業するということはできません。地域が衰退したけど、金融機関の業績がいいななどということはありません。常に地域と一心同体です。下仁田町においては、高齢化や人口減少への対応は大きな課題であり、地方創生の大きなテーマでもあります。「どういうふうに、移住・定住をしていただくか」ということに対して、何ができるのかっていうのは金融機関としても課題であり、考えていかなければなりません。

こうした課題への対応策の一つとして、教育環境の整備があると思います。親からすれば子供の教育については大変関心があります。教育環境を整備することで、定住を促進することは重要な取り組みです。そういう面では「ねぎとこんにゃく下仁田奨学金基金」などの奨学金という制度は、いいなとは思います。

下仁田町がいろんな仕掛けや取り組みをしてくれることによって金融機関としても協力関係が深まります。ライバル金融機関ですけど、支店長がみんな一緒に視察をして、情報交換をしながら商品化に向けて取り組んでいます。

―ではその他に、しののめ信用金庫さんは、地域でどのような取り組みをされていらっしゃいますか?

地域でこだわりの食材などをつくってらっしゃる企業さんと一緒に「フードビジネス」という取り組みをここ5年程行っています。当金庫が主体となり県内外の信用金庫と連携して開催しています。当金庫の取引先食品加工業者(100社程度)と、関東、信越、東海、近畿などのバイヤー企業数十社が参加し、商談会を行います。下仁田支店取引先の食品加工業者様も参加しています。お取引先の販路拡大を応援し、下仁田町で製造された食品が様々な地域で販売されることで、その食品を通じて下仁田町に関心を持っていただけたらと思っています。

―「下仁田」という名前は、こんにゃくやねぎで有名ですよね。

はい。下仁田町はこんにゃく、ねぎが有名です。いろんなところで「下仁田町の○○」など目にしますよね、「下仁田」というネーミングを知っていらっしゃる方は県外にも大勢います。ただ、実際にどこなのかを知っている人は、そう多くはないかもしれません。私たちのフードビジネスで間接的にでも下仁田町を広げていければいいなと思っています。

そういうきっかけで、下仁田町に行ってみよう思うお客さまもいるかもしれない。だからそうやって私たちのフードビジネスで間接的にでも下仁田町を広げていければいいなと思っています。

やってみないと何事も結果は出ない

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―今後、下仁田町で新しい取り組みをしたいという方に対して、しののめ信用金庫さんと一緒に行えることについて教えてください。

まず、私たちは本業支援に力を入れています。創業であれば、創業スクールを開校していたり、ビジネスマッチングや販路拡大などについては外部機関との連携など、人と人、地域と人、企業と企業など様々な形で「つなぐ」ことができます。勿論、金融機関ですから、金融支援は当然です。下仁田町で新しい何かに取り組みたい方がいれば、「つなぐ」力を発揮してしっかりお手伝いをさせていただきたいと思います。

しののめ信用金庫 下仁田支店
〒370-2601 群馬県甘楽郡下仁田町下仁田370-1
TEL. 0274-82-2255
Web. http://www.shinonome-shinkin.jp/